三分間法話「櫻井随峰」

櫻井随峰

法話を聞く

みかんの話

私は、西山浄土宗教学部長の櫻井随峰です。
私の自坊、阿彌陀寺のある和歌山県海南市下津町は、みかんの産地です。

かつてミカン農家の、あるおじいさんからお聞きした話です。
このおじいさんの作るみかんは、その年年の天候にもかかわらず、毎年豊作、粒ぞろいで甘い、結果、出荷の値段も高いのです。毎年のことでありますので、ある年の正月、お寺でのお節の集いの折、ある方がそのおじいさんに尋ねられました。
「なぜ、あんたとこのみかんはいつも豊作なんや?なんで甘くて値段も高いんや?」と。すると、そのおじいさんが「わしはね、毎日、みかんを一つひとつ阿弥陀さんやと思って拝みながら世話しているんよ。色々話しかけながらね。そして、遠い雪国のお正月に、家族団らんしてこたつに入って、わしの作ったみかんをみんなで喜んで食べてる姿を思い浮かべながら作っているんやで。それからな、みかんは子どもと一緒や。肥やり過ぎて甘やかしたらあかんで。みな甘やかし過ぎなんや。だから、ぶくぶく肥えたり皮ばっか固くなって、酸っぱかったり水っぽかったりするんや。ええ加減ということがあるんやで」と、笑っておられました。

みかんは自分の子どもと一緒。だから厳しく育てる。正月、みんなが幸福に、自分の作ったみかんを食べてくれている姿を思い浮かべながらお世話している。そして、何よりも、阿弥陀さまだと思って、拝みながら、語りかけながら作っていると。そこにいた皆一同、深く納得したことでした。

信仰の日暮らしこそ、最も幸福への近道であります。
お電話ありがとうございました。

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