経蔵と「法然上人袈裟掛の松」

御影堂の周辺で私が一番好きなのは経蔵とその前にある「法然上人袈裟掛の松」です。天気が良い日は、青空と経蔵の白い壁、そして松の緑とのコントラストがとてもきれいなのです。真夏は白壁がまぶしすぎるときもありますが、晩秋から冬はここだけにお日さまが特別やわらかな日差しを当てているような気がして、掃除の途中でちょっと日向ぼっこしたくなることもあります。

経蔵は宝永四年(1707)に建てられたもので、何度も大規模な補修が行われてきました。この中には一切経と呼ばれるたくさんの経典や注釈書、その版木などが収められています。私たち修行中の者にはとりわけ大切な場所というわけです。法然上人は何度も一切経の全てに目を通して凡夫のための教えを探されたそうです。今、ここには全国の皆さんが心を込めて写経なさったお経も納められています。尊い教えや先人の学びの足跡、そして、皆様の写経・・・お日さまがここを温かく護っていらっしゃるようなのも当たり前かもしれませんね。

「袈裟掛の松」は、法然上人が初めてお念仏の教えを高橋茂右エ門夫妻にお説になられた後、しばらく西山広谷の地に留まろうと思い立ち、袈裟をおぬぎになって掛けられた松の木と伝えられています。もともとは本山の裏山の奥深く、小さな谷の斜面に生えていたものですが、昭和五七年(1982年)に株分けされて経蔵の前に移されました。いまでも、元の地には松と小さな碑が残されています。この谷間に行くと、法然上人が滞在されたころの広谷の雰囲気が想像されてなかなか味わいのあるものです。ここへの道は、小坊主たちが代々先輩からの「口伝」で教えられ、ちょっとした伝説の場所になっています。

紅葉期は大変混雑しますので公共交通機関をご利用下さい。光明寺には駐車場はございません。また近隣は全面駐車禁止です。